【キネヅッカ】「言の葉」石原弘之監督

短編映画『風待ち』で、調布映画祭奨励賞を受賞した石原弘之監督がゲスト出演。
中学時代のドキュメンタリー作品『ふじのはな』予告編、高校時代の短編『言の葉』を上映したほか、自身がプロデューサーをつとめる最新作『PORTRAIT』について伺いました。

キュレーター・蔭山さんとのアツいトークがサクレツ!して、延長戦にもつれ込んだ放送でした。

--学時代に制作したドキュメンタリー『ふじのはな』について

04:13 石原監督(以下石)「中学のときに初めてカメラを持って映像作品を作ったんですよ。総合学習のときに、僕は映画を作ろうと思って。編集は、そのときに学校にパソコンを教えに来ていた電気屋さんがいて、そのおじさんのところに足繁く通ってアドビプレミアを教えていただきながら。『映像おじさん』みたいな方で。それでドキュメンタリーを作ったんですけど、本編のほうは学校から返してもらえなくて。笑 予告編しか残っていないんです」

--高校時代に制作した短編『言の葉』について

06:23 石「高校生のときに、映画を作って文化祭などで上映していたんですけど、これは高校3年生のときに作ったものですね。モノクロで撮っています」

08:03 石原弘之監督『ふじのはな』予告編上映
09:23 石原弘之監督『言の葉』上映

26:17 石「中学時代はハリウッド映画を主に観ていましたね。映画館はとにかく行ってました」
28:00 蔭「最初にドキュメンタリーを撮ろうと思ったのは、それなら自分にできそうと思ったということ?」
28:05 石「人間に興味があったんだと今振り返ってみるとそう思いますね」
28:40 蔭「フィクションとノンフィクションと分けてるけど、全然わかれてなくて、人に対する好奇心とか人に対する思いなんだよね。実際の現実を取材するのと、物語をこしらえてそこで人を動かすのと、やってることは違うようで心の底にあるのは人に対する好奇心、愛情なんだよ」

29:23 石「『言の葉』の場合は、実体験をベースにしているんですよ。そこで初めて、実体験をベースにという手法を自分なりにやったんでしょうね」
29:49 蔭「すごく映画的というか。セリフとか全部説明していくんじゃなくて、映像とかサウンドとかで人物たちの感情を表現していくという高等なことを高校生でやっている・・・んですけど、実際にあったことなんですか、あれは」
30:20 石「女の子と一緒に帰っていて、ケンカとかして女の子が感情的になる瞬間とか、大学に一緒に行くみたいなことがあって、それを映像化しようとなんとか書いたものですね。役者さんも高校の子に『君ならできる』と言って」
30:59 蔭「いい顔してるんですよね。逆に役者っぽくないのがナマナマしいの。だからエロいんですよ。良い意味で。寸止めが一番エロいんですよね」
31:45 石「大事なところを想像させたいっていうのが映像の力だと思うんですよね。全部形にしてしまったら、あまり意味が無いというか、品がないというか」

37:09 最新プロデュース作品『ポルトレ PORTRAIT』予告編上映
39:30 石「16mmで映画を撮りたい、フィルムで撮りたいというのは最初の欲求としてあって。それはやはり、かっこいいからですよね。昔の流れをくんで、モノとして残したい、それで今しか出来ないというタイミングもあったんでしょうし」
40:20 蔭「今だからメディアを選べるというのはある。インディーズは自由で責任が全部自分にあるからこそ。製作費とかはどうなってるんですか?」
40:40 石「大学の『たまふぃるむ』というので企画を出して、それが通って学校から予算が20万くらい出て、残りは監督とプロデューサーでという感じですね。フィルムの現像代とかは内田監督が出して、僕は制作でかかっている費用を出しましたね」
42:20 蔭「インディーズは監督がプロデューサーを兼ねることが多いけど、学校が企画していることもあって、プロデューサーシステムがあることはすごく良いことだと思うんですよね。監督ひとりで作っていっちゃうとやっぱり客観性がない場合が多い。主観の暴走の傑作もあるんだけど。笑」
44:00 石「自主映画だと、ロケハンとか段取りも監督が1人でするじゃないですか。そうなると、中身を考える時間が取れないと。そうすると、被害を被るのは観客なんじゃないかなと。今回は、僕は外の管理、内田は中身に専念するという作りかたをやってみようと」
45:12 蔭「僕もその理由でプロデューサーになったんですけど、プロデューサーになりたい!というよりはプロデューサーが足りないという思い。映画にとって大事なのはクリエイターと同時にそれをコントロールする側がいなきゃいけないというのを霊感的に感じた」

石「機材は、学校がフィルムを重点的に教えてくれるところで、フランスのエクレールという16mmカメラなんですけど、現像はアメリカに送りました」

50:53 『ポルトレ PORTRAIT』主演・吉村界人さんインタビュー
55:20 蔭「キャスト選びはどうやっているんですか?」
55:25 石「主演の吉村くんは、『たまふぃるむ』で企画を出したときにオーディションを開催して、そこに来てくれました。松本まりかさんは、知り合いに紹介してもらいました」
56:15 蔭「日本映画が失いかけているような、映画っていうのはこういう表現力があったんじゃないかなっていう。僕これ家のパソコンで見たとき、絶対スクリーンで見なきゃなって思ったんですよ。作り側が、完全にスクリーンを意識してて、お客さんが暗闇でスクリーンを見てるのを想定して作られてるなと。こういう若者がいることが今すごく嬉しくて。映画を作るってことに対して、監督が一番こだわっていることはなんですか?」
57:55 石「人間とか出来事とかを自分が見る視点というか、どういう風に自分が見るのかという眼差しみたいなものが監督の技術なのかなと自分では感じていて、自分はまだ出来ていないので、もっと深めていかなきゃなと思っています。監督の人間観に出来るだけ忠実なものを撮るのは映画の良さだと思っていて、でも観客を意識する間のせめぎあいというか、そこの中間を狙っていくところのスリリングな戦いというか」
59:40 蔭「映画は総合芸術とかいって、何万人とか関わってるけど、大事なのはやっぱり個人、監督という人間の今まで生きてきた自分の主観をもっと描かなければお客さんは感動しない。プロデューサーたちにいろいろ言われて、監督の持っているハートみたいなものが描かれていない映画が日本には多すぎる・・・言っちゃったけど。ストーリーはあるけどハートは描かれていない」

--石原監督による『ポルトレPORTRAIT』見どころ紹介

・主演:吉村界人さんのたたずまい
石「20歳くらいのときに、自由すぎて不自由さを感じていた時期。それを等身大で演じた吉村くんのたたずまい」

・音楽:Taro Peter Littleさんの繊細なメロディーライン
蔭「映像で魅せる作品の世界観を伝えるのは音楽。監督が、自分の中に思い浮かんだものから『選ぶ』ことが究極のクリエイティビティ。」

・モノクロームの都市、東京渋谷の街
石「混沌とした街を最小単位の色で切り取る」
蔭「自分が見たときと、映画の中で見た風景がまったく違う。監督の目から見える世界を柱として一貫して欲しい」

・「海抜三千メートルの手記」
石「映画の出発点となる、監督が書いた詩」
蔭「これを冒頭に出すことによって、人物が言葉を発さなくても心の中が描かれている」

・『ポルトレ』さんはどういう人?
石「ずっと見ていると、作品が人格をおびてくるんですよ」
①寡黙
②落ち着いている
③優しい

80:20 蔭「今後どのような作品を作りたいなどイメージは?」
80:25 石「題材としていうなら、家族の作品を撮りたいですね。映画の持つ優しさをキーワードに考えると、家族が一番適しているんじゃないかなと思いますね」
81:00 蔭「家族は一番隠したいもの。テレビやマンガでも、家族はやっかいなもの。そこを描くときに無意識的に避けてしまう人が多い。本当はその後ろにある隠したいものを描かないと、映画のリアリティーがなくなってしまう」
83:30 石「家族はこんなにいいものなんだという理想を説得力を持って描きたいんですよ。悲惨な家族を見せて家族の良さを描くのではなく、僕なりの理想を見せたいと思いますね」
86:25 蔭「最後に、好きな映画監督について教えてもらえますか?」
86:26 石「日本の監督だと、やはり小津安二郎監督ですね。映画の優しさというものを一番現しているんじゃないかなと思います」

出演

監督
石原弘之 監督
ISHIHARA, Hiroyuki
1987年生 愛知県江南市出身 丹羽高等学校卒業。
中学時代よりビデオカメラによる自主制作を開始。数十本の中•短編作品を制作。
「風待ち」にて2014年調布映画祭ショートフィルムコンペティション奨励賞。
企画・プロデュースを務めた「ポルトレ PORTRAIT」が2014年6月7~13日渋谷アップリンクにて公開。
2014年「無意識都市」監督。

MCのひとこと

今回の放送は調布映画祭シリーズ第3弾ッ!!
短編映画『風待ち』で奨励賞を受賞した石原弘之監督をお招きし、中・高時代に手掛けた作品を振り返りながら…映画を撮ろうと思ったキッカケや、自身がプロデュースした最新作『PORTLAIT-ポルトレ−』のお話を伺っちゃいました(=゚ω゚)ノ

放送中に監督がプロデュースした『PORTLAIT-ポルトレ-』の見どころについてお尋ねしたところ…作品を擬人化してみたら。と、いうことで下記のような特徴をあげてくれた。

①寡黙
②落ち着いている
③優しい

会話にもあった通り…
幼少期から映画に慣れ親しんできた石原さんが映画を製作することで、今まで観てきた作品から得てきたものを還元したいという強い想いや、丁寧に言葉を選びながら柔らかい表情を浮かべる横顔。
そして、スクリーンの向こう側にいる作品を鑑賞しにきた観客や、自身に関わりを持っている人たちのことを考える思いやりの深さ。
そのすべてが人物に例えられた最新作と似ており、私が石原さんから受けた印象と重なったのである。

最後に…
監督は映画が持っている“優しさ”というキーワードをもとに「家族とはこんなにいいものなのだという理想を、強い説得力を持って生涯をかけて撮りたい。」と、私たちに話してくれた。
石原さんの眼差しの向こうには上記にあげたことに加え、変わることのない意志がそこには存在しているように思えた。
手掛ける作品と自身の想いとの狭間で、これからも対峙していくだろう。監督の思い描く理想が反映された作品が世に生み出される日も近いのかもしれない。

はいッ!!
来週は芸人でありッ! 映画監督であるッ!
松本卓也氏をお招きして、面白い←ハードルあげてないよw お話を伺っちゃいますッ♪(´ε` )
見てねぇ~ 多分、面白いからwww←

新 麻記子