【キネトーク】佐々木誠監督PV作品「ラブストーリー」上映

PVからドキュメンタリーまで幅広く映像作品を手がける、佐々木誠監督をゲストにお迎えして、2002年の監督作品『ラブストーリー』(シンガーソングライター・田辺マモルさんのPV)を上映。
また、監督のドキュメンタリー制作の原点や、転機となった作品『Fragment』、「生まれついての視覚障害者はSFアクション映画を作れるのか?」というテーマの『INNERVISION』についてなど、お話を伺いました。

02:40 佐々木誠監督登場
佐々木監督のPV作品『ラブストーリー』

03:37 佐「俺っぽくないけど、すごく思い入れのある作品」
04:38 佐「作品は、ドキュメンタリーとフィクションを混ぜあわせた映画。やらせはないです。ただ映画作品でドキュメンタリー風の映画を作っているときはある」

05:48 『ラブストーリー』上映
13:05 佐「12年前、26-7歳くらいでしたね。マイケルJフォックスで言うと、『Back to the Future Ⅱ』の前くらいの年齢ですね」
蔭「何でも時代をハリウッド映画の公開日に照らし合わせるクセがあるんですよね」

--佐々木監督の履歴書

14:15 佐「当時はPVをよく作っていたんですが、会社を辞めてフリーでいろいろ作っていた時期ですね」
14:43 佐「PV見るのも好きだし、作るのも嫌いじゃないけどもっとドキュメントっぽいものを作りたいなと思っていた時期なんですね。で、たまたま好きだった田辺マモルさんにクラブで会って、PV撮らしてくださいって言ったら、いいよ、って。次の次の日くらいに電話がかかってきて、すごいギャラ安いんだけど、どうって言われて、全然やりますってやらせてもらったんです」
15:30 佐「それまではデジタルの時代で、エフェクトとかVJとかかっちょいい系でやったりしてたんだけど、この曲は違うなあと思って、ドキュメンタリー風な方向に行きたいと思ってたし、ドキュメンタリータッチで8mmでいきたいなと」

--転機となった作品『Fragment』のこと

20:08 佐「元々、911のドキュメンタリーを作りたかったんですよ。まず、911の記録を残さなきゃいけないと思ったんですよ。そのときやってた仕事が、ニューヨークと東京のクラブを衛星回線でつなぐという仕事で、その公演が911の4日後だったんで、中止になったりとか。初めてお金をもらわないで映像を撮ろうと思ったのがそれだったんですよね」
22:45 佐「自己表現とかまったく興味がなかったんですけど、911で、これは記録しないといけないなと思ったんですよね。それはほんとに、ドキュメントですよね。さっきの田辺さんは同時期くらいで、ドキュメンタリーとフィクションを混ぜあわせたのがあれというか」
24:14 佐「それで911の映画を作ろうと思ったんですけど、よくある、911がどうのっていう映画を作るんじゃなくて、もっと身近な自分がリアルに体験したものを記録しなきゃダメだと思ったときに、たまたま仲の良かったタレントの、井上実直という実家がお寺の友達が、日蓮宗の100日荒行をして生きて出てきたら修法師になって、グラウンド・ゼロにもう一度行って祈祷したいと。要するに、彼の青春でもあるわけですね。それがとてもリアルだなと思って。その記録自体が」
26:28 佐「ドキュメンタリーっていうのは何なのかわからないんですけど、やっぱり記録を撮りたい、断片を切り抜きたいと。911がなかったら僕も撮ろうと思わなかったわけだし、彼もやろうと思わなかったわけだし」
26:40 蔭「手法は違えど、911をもって何かに向かいたいという男が2人いたってことだよね」
26:51 佐「その断片を切り抜くっていう。だから『Fragment』っていうのは断片という意味なんですね」
27:15 佐「僕は別に映画監督になりたいと思わなかったし、『Fragment』だけ作りたいなと」

--映画祭に出品してたくさん落ちたのち、海外で評価されて

28:15 佐「映画祭に『Fragment』をいっぱい出品したんだけど、全部落ちたんですよ。そのときに、自分が間違ってると思わなかったんですよ」
28:55 蔭「なんで落ちるかって、新しいからだよって思ったの。見て思ったのは、監督がテーマを主張してないの。見ている人を心理操作するような、実際はほとんどがそういうドキュメンタリーなんだけど、まこっちゃんのは、見てる人がどう思うかはあなたに委ねますみたいな、それは俺が押し付けることじゃないみたいな手法で撮ってるから、一切味付けされてない野菜を食わされたみたいな、でも野菜の旨味を感じるにはそれが一番みたいな」

30:36 佐「南カリフォルニア大学ってとこに呼ばれましてね。スピルバーグとルーカスが作った映画館で初めて上映した日本映画っていう。映画祭で落としたやつバカヤローだよ笑」
30:50 蔭「新しいことというか、前例のないことをするとやっぱりそうなるよね」
31:00 佐「やっぱり2年くらいは、なんでだろう?って思ったんですよ。こんなに面白いのにと思って」
31:05 蔭「そこが大事なんだよ、自分で面白いって自信があっても周りに否定されると、やっぱり俺は間違ってたと思って、みんなに褒められることやろうとしていい才能持ってても当たり障りのない映画を撮りだす子もいっぱい知ってるから。みんな自信持っていろんなとこトライした方がいい」

--『INNERVISION』ができるまで

32:58 佐「蔭山さんプロデュースのオムニバスで撮った映画が『マイノリティとセックスに関する2、3の事例』で、障害者のセックスをとらえた映画なんですけど、それはドキュメンタリーとフィクションを混ぜあわせた映画だったんですよ。設定として僕は佐々木誠という別のキャラクターを演じながら撮っているという。障害者を撮っているように見えて、僕が主役という。僕がずっとスケボーに乗って障害者を撮るという」
34:40 佐「障害者ってかわいそうと思われてるんだけど、そう思ってなくて。性的には不能なんだけど健常者の僕と、障害者だけど性生活は豊かな彼と、どっちが幸せなんだ?というのを、かっこいい感じで映画にしたら面白いなと思って」

36:00 佐「その後は仕事でドキュメンタリーを撮ってました。フィクションとしては脚本の仕事をやったり」
39:15 佐「その間に、マイノリティーの続編を撮りたいってずっと思ってたんですけど、どうしても続編というのが作れないなと、自主的に映画っていうのが作れないなっていう期間が長かったんですよ。で、そんなときに視覚障害者団体から話が来たんですよ。視覚障害者の映画を何でもいいから作ってくれと。その頃ちょうど仕事も忙しくて、同時に作るのは無理なんで一度断ったんですけど、そのおじさんが、行くところ行くところに来るんですよ。」
41:34 蔭「1回であきらめるのは、恋愛でも仕事でも全部ダメよ」
42:10 佐「障害者かわいそうとか思ってないし、そのための何かっていうのは別になかったんだけど、おじさんがとにかく人として面白かったんですよ。で、とりあえず2人よくしらないから箱根に温泉旅行に行きましょうっていって。だからまず、目の見えないおじさんと2人で箱根に温泉旅行に行ったんですよ。2人で夜飲んで、どういう映画作ろうか話して」

43:40 佐「好きな感じで作ってくれと言われて、その団体で会った中で、同じ年の加藤くんという人と話が合ったんですよ。ジャッキー・チェンとかトップガンとか映画の話で盛り上がって、こいつに映画を撮らせたら面白いんじゃないかと思ったわけですよ」
44:10 蔭「目が見えない人に」
44:13 佐「しかもそいつは、生まれつき目が見えないんですよ。さっき箱根に行ったおじさんは、20歳まで見えてた。でも、加藤くんは生まれつき目が見えないから、想像がつかないんですよ。で、彼がSFアクション映画を作ったらどうなるか、っていう映画を作ったんです」
44:48 蔭「それは、完全なドキュメンタリー?」
44:53 佐「半分半分、映画を作るってこと自体の映画を作ってるわけですよ。ただ、彼が映画を作ろうとしてることは本当なわけなんで、ドキュメンタリーっちゃドキュメンタリーだし」
45:45 佐「ドキュメンタリーってのは、ウソはついちゃいけない。だから、ドキュメンタリーってカテゴリーで作るときはすごく気をつけてる。ちゃんとリサーチして確認して撮るようにしてる」

46:46 佐々木監督の最新ドキュメンタリー作品告知
フジテレビ NONFIX
「バリアフリー コミュニケーションぼくたちはセックスしないの!?できないの!?」
2014年2月27日(木) 02:20~03:20 放送(2014年2月26日(水) 26:20~27:20 放送)
http://www.fujitv.co.jp/nonfix/index.html

48:44 佐「エロは平等だっていうのがテーマです」

49:30 調布映画祭告知
第25回調布映画祭2014
第17回ショートフィルム・コンペティション 入賞・入選作品上映会
調布市文化会館たづくり/調布市グリーンホール

51:20 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭告知

http://yubarifanta.com/

20140207-02

出演


佐々木誠 監督
SASAKI, Makoto
映像ディレクター/映画監督
高校卒業後、あがた森魚監督などの映画作品にスタッフ・役者として多数参加、同時期に桜井鉄太郎プロデュース「Yipes!」など数本のシナリオを執筆。
2006年 初監督ドキュメンタリー映画『Fragment』がロードショー公開
2007年 オムニバス映画「裸over8」の内の一本『マイノリティとセックスに関する2、3の事例』公開
最新作『INNERVISION』が公開決定

MCのひとこと

「Fragment」9・11以降の世界。若き僧侶がめぐる冒険や、「INNERVISON」生まれついての視覚障害者はSFアクション映画を作れるのか?!などのドキュメンタリー映画をはじめとし…映画の脚本や、アーティストのミュージックビデオも手掛けている佐々木誠監督をお招きした今回の放送。

打ち合わせ段階から佐々木誠監督の炸裂するトークに花が咲き、終始和気藹々の現場で、「俺の家、サーカス団だったんだ
………まッ 嘘だけどねぇ~w」なんて冗談で皆を和ませてくれたり、本当に色々と色々な事情を楽しくぶっちゃけてくれる人間味溢れる性格の持ち主でした(=゚ω゚)ノ

アーカイブの彼の会話からも分かるように…
その面白さの向こう側には自分の芯を曲げず、自分の信じた物事に向かって直走る強さと、目標を実現化するための積み重ねられた努力と緻密な計算をしていることがうかがえるけれど
…そんな空気を微塵も出さない。
だからこそ、多彩であって多才…
彼の人柄や、彼の作り出す世界にひかれ、どんな人も自然に集まってくる。
とても魅力がある人なのだと感じました。

新 麻記子